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2015年06月03日

その言葉に



≪≪久々に作品を…3万文字で前後編で…って長い道のりだにゃ~≫

午前6時30分。枕元のアイフォンがけたたましい音を鳴らした。
着信ボタンを押すとスピーカーから、

「亜美~亜美ったら…ねぇ、ねぇ…聞いてよ!亜美!」

語尾上がりのちょっと甲高い声の島本ルイ子の声が響いた。「おいおい…こっちとら徹夜で原稿書きだぞ!」の心の声をグッと押し殺し野原亜美は、

「は~い、ルミ子どうしたの?」

まるで何事もないようにアイフォンを改めて、耳にあてがう。

「…亜美…あのさぁ…今、加藤クンと一緒なのよ」

「えっ?」

 加藤クンと言われてもルイ子の周囲には加藤クンは過去にも片手では数えきれないほどいる。

「それと、山下クンもね…」

「はぁ~?」

 まだ、原稿を書き終えから寝酒替わりに飲んだ味醂でプチ二日酔い状態。またか…と一瞬心の中でイヤ~な予感がしつつ、

「ルイちゃん、加藤クンと山下クンって写真サークルのカメラマンさん?」
「すっ、すご~い!亜美なんでわかるワケ?」

 なんでわかるも、分からないもない。山下クンと加藤クンは、ルイ子と知り合った写真サークルの仲間だ。もちろん、パッと花が咲いたように明るいルイ子はいつだってその中心で笑っていて、

「写ガール目指すんだ!」

 なんてミラーレス一眼カメラまで用意していたクセに、いつの間にか撮影会の専属モデルに。まぁ、女性が少ないサークルなんで、気が付くとわたしもルイ子に乗せられて一緒に和服モデルもどきをやったこともあるが…。

 でも、なんでまた山下クンと加藤クンがルイ子と一緒なワケ?

 頭の中が混乱する。その混乱を沈めるために、マリリンを真似してと言えば聞こえがいいが、パンツのゴムでカラダを締めるつけたまま寝ると血行不良になるからスッポンポンで寝ていたカラダにピンクのラップバスタオルをグルリと巻き付け、冷蔵庫を開けサンプルでもらったスカイブルーエナジードリンクを飲み干す。シトラス×メンソールの強い刺激とカフェインがカラダの中に染みわたり、つい最近ルイ子から送られてきたMessageをアイフォンでルイ子の声を聞きながら読み返す。

 そして「……ゴールデン暇だからお茶する?!」のルイ子からのMessageと曖昧な返事を返していたことを思いだす。「行けたらいくよ~!(^^)!」と書き込み、それから急な締切りに追われるハメになり、アイフォンもチェックすることなくキーボードを明け方近くまでぶっ叩いていた。……その後、ルイ子からのお誘いが3回、それから加藤クンと山下クンが一緒だよ!の文字が何度か…そ、そうだった。そう言うワケだったのだ。

 時計をチラ見しながら、ルイ子のことだ。きっと、話したいことがきっとてんこ盛り状態になっているはずと、

「今から来ない?」

 と、誘う。その言葉に、

「うん、行く。今、加藤クンの松戸のマンションだからちょっと時間かかるけどいい?それに、親にも猫たちにご飯あげてもらうようにお願いしないといけないしネ」

 ルイ子の声を抑えた笑い声が響く。ルイ子が山下クンと加藤クンとどんな風に一晩過ごしてしまったのかが、正直気になる。

 …に、してもだ。ルイ子もわたしもちょっと前ならクリスマスケーキ。ある意味で結婚っていうより、出産適齢期絶頂期、気まぐれな男達と遊ぶより、そろそろ将来設計も考えなきゃいけないのに、よくやるよって思ってしまう。

≪続く≫


  


  • Posted by xfk22468 at 21:13Comments(0)